セミナーの趣旨

  2013年4月,金沢大学の偏微分方程式研究者有志が集まり本セミナーを企画しました。各回の話題は,偏微分方程式の理論的な側面を中心に,セミナー幹事の関心に従い大らかに選択しています。参加者がセミナーを十分楽しみ,勉強し,新しい発見を得られるように,各回の最初の20分から30分程度,講演者の方にはその話題への導入となるような解説をお願いしています。ご関心がある方はどなたでもご自由にご参加ください。なお,基本的には月1回・金曜日に金沢大学で開催予定ですが,柔軟に対応して長く続けていくことを目標にしています。
  どうぞよろしくお願いいたします。

2022年度

第103回
日時 3月28日(火) 16:00~18:00 ※通常と曜日・時間が異なります.
※60分講演を2つ行います.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館223室 ※通常と場所が異なります.
  オンライン:Zoom
  参加登録: こちらのリンクからお願いします.
[講演1]  16:00〜17:00
講演者 中村 健一 氏(金沢大学・数物科学系)
タイトル Lotka-Volterra競争拡散系の双安定進行波の伝播方向
概要   同じ資源をめぐって競争する2生物種の個体数変動を記述するLotka-Volterra 2種競争拡散系において, 拡散項を含まない常微分方程式系が双安定平衡点を持つ強い競争条件下で, 2生物種のどちらが競争に勝ち残るかはお互いの移動・分散のしやすさ(すなわち拡散係数)にも依存する.ここでは, どちらの種が強いかを2つの安定平衡点をつなぐ進行波の速度の符号, すなわち双安定進行波の進行方向で判定する.
  最近, ロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系に対し, 比較定理を利用した双安定進行波の進行方向の決定に関する論文が発表され, いくつかの新たな知見が得られている. 本講演では, この方面の研究に関する最近の進展について概説するとともに, 荻原俊子氏(城西大学)との共同研究によって得られた結果を紹介する.
[講演2]  17:00〜18:00
講演者 小俣 正朗 氏(金沢大学・数物科学系)
タイトル 双曲型自由境界問題の現状と展望
概要   波動方程式に支配される系における自由境界問題について論じる. 変分的取り扱いによる利点とその応用例についても触れる.



第102回
日時 1月20日(金) 16:30~18:00
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/L1yu6gpGRbTCfTnv6)
講演者 上田 好寛 氏 (神戸大学)
タイトル 粘弾性流体方程式系に現れる定常解の安定性解析
概要   本講演では,粘弾性を考慮した圧縮性流体方程式系の安定性解析について議論します.1次元半空間において流体が境界から外部へ流出する状況(Oulflow問題)を考え,ある条件下で定常解の存在とその安定性が示されることを紹介します.粘弾性を考慮しない通常の圧縮性流体方程式系に関しては既に多くの結果が知られています.特に,Outflow問題についてはNakamura-Nishibata-Yuge(2007)やNakamura-Ueda-Kawashima(2010)において定常解の存在とその安定性が議論されており,Mach数を指標とした結果が得られています.粘弾性流体方程式系に関しても同様の結果が導かれるのですが,その指標がMach数に粘弾性の影響を加味した値となるのが大きな特徴です.証明はエネルギー法に基づくもので,粘弾性の影響に着目しながらその解法について解説します.本講演の内容は東京工業大学の石垣祐輔さんとの共同研究によるものです.



第101回
日時 1月19日(木) 16:30~18:00 ※通常と曜日が異なります.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/PoPsrgzBvfw3m2iFA9)
講演者 Pierluigi Cesana 氏(九州大学)
タイトル Mesoscale modeling of systems of planar wedge disclinations and edge dislocations
概要   Planar wedge disclinations are rotational mismatches at the level of the crystal lattice entailing a violation of rotational symmetry. Alongside dislocations, disclinations are observed in classes of Shape-Memory Alloys undergoing the austenite-to-martensite transformation and in crystal plasticity. In this talk, I will describe some recent results on the modeling of planar wedge disclinations and edge dislocations via an energy minimization principle. We model disclinations and dislocations as the solutions to minimum problems for isotropic elastic energies under the constraint of kinematic incompatibility. Our main result is the analysis of the energetic equivalence of systems of disclination dipoles and edge dislocations in the asymptotics of their singular limit regimes. The material of this talk is mainly based on a collaboration with Prof M. Morandotti (Turin) & L. De Luca (Rome) https://arxiv.org/abs/2207.02511



第100回
日時 1月10日(火) 16:30~17:30 ※通常と曜日が異なります.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/DSdgwR89n6P38tWF9)
講演者 Ming Mei 氏 (McGill University & Champlain College St-Lambert, Canada)
タイトル Subsonic/supersonic/transonic steady-states of Euler-Poisson equations for semiconductors with sonic boundary
概要   In this talk, we mainly investigate and classify the existence/non-existence, uniqueness/multipleness, regularity/singularity of the physical solutions such as subsonic/supersonic/transonic steady-states of Euler-Poisson equations for semiconductors with sonic boundary. The sonic boundary, a critical case, usually makes the structure of solutions to be various and fantastic, and causes some singularities for the solutions.



第99回
日時 12月9日(金) 16:30~18:00
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/GXRN3jgCSrK4Xw2X7)
講演者 竹田 航太 氏 (京都大学)
タイトル 球面上の平均場方程式に対するHMCを用いたモンテカルロアプローチ
概要   2次元乱流の統計的性質を理解するために,N点渦系という近似モデルを導入し,系の不変測度を調べるというアプローチがある.N点渦系について,N体問題を1体問題へ帰着する平均場近似を適用することで,不変測度のN無限大極限が満たすべき方程式である平均場方程式が導かれる.平面上のN点渦系については平均場方程式が導かれ解の挙動が知られているが,球面上では未解明である.本研究では,不変測度の数値解析により球面上の平均場方程式を調べる.しかし,N点渦系の不変測度の計算は長時間直接数値計算を必要とするためコストが高い.このため,次に示すハミルトニアンモンテカルロ(HMC)を用いて,球面上N点渦系の不変測度をモンテカルロ近似する手法を提案する.
 HMCはマルコフ遷移を用いたサンプリング法の1種であり,ハミルトン力学の性質を利用して可逆なマルコフ遷移を構成することで効率良くサンプリングを行う.多様体上のHMCについて,一般的な条件下での収束定理は知られているが,漸近的な誤差評価が未解決である.そこで,本研究では,多様体にコンパクトという条件を設けることでHMCの収束について漸近的な誤差評価を示し,サンプリングの効率性を保証する.
 本講演では,まずコンパクト多様体上HMCの漸近誤差評価について説明する.次に,HMCを用いて球面上N点渦系の不変測度をモンテカルロ近似し,平均場方程式に関する解析結果を示す.



第98回
日時 12月2日(金) 16:30~18:00
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/GkHYgz2waERo7rsWA)
講演者 下條 昌彦 氏(東京都立大学)
タイトル The convergence to a traveling front of predator-prey type reaction-diffusion systems with equal diffusivity by utilizing a Liouville-type theorem
概要   The aim of this talk is to study the convergence to traveling front of reaction-diffusion systems such as predator-prey models. A solution of the reaction-diffusion system, that exists for all real-time, is called an entire solution. Using the relative entropy function, we establish a Liouville-type theorem for the entire solutions of general reaction-diffusion systems. Several examples from ecology and epidemiology will be discussed to illustrate the applications of this theory.



第97回
日時 10月28日(金) 16:30~18:00
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/tEmk6HqqxM24h6AJ7)
講演者 田端 正久 氏 (九州大学)
タイトル Navier-Stokes方程式に対するLagrange-Galerkin解の時間刻みに関する挙動
概要   Navier-Stokes方程式は様々な流れ問題の核心部分をなしている.その数値解法において,Lagrange-Galerkin法は,高Reynolds数流れに対する強靭性,数値計算の有効性などから,最も優れた方法の一つである.この解法の特徴は,物質微分の近似により,流線に伴う複合関数の積分項が現れることである.実際の計算では,この項に数値積分が用いられるが,複合関数が滑らかでないために,数値積分の評価も含めた収束性の議論は完結していない.この講演では,二種類の数値積分公式について時間刻みが小さいときの解の挙動を考察する.Gauss型公式を用いたとき,時間刻みに対するある条件下で,収束性を証明することができる.Newton-Cotes型公式を用いたとき,Gauss型公式の解より滑らかな収束挙動が得られる.これらの異なる挙動が生じる理由を明らかにする.この研究は学習院大学内海晋弥助教との共同研究である.



第96回
日時 10月3日(月) 16:30~18:00
※通常と曜日が異なります.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/FAWmCHLo57xW9GyH6)
講演者 Michał Łasica (東京大学/Polish Academy of Sciences)
タイトル The fourth-order total variation flow in Rn
概要   Gradient flows of the total variation (TV) functional are of interest due to their applications in image processing and connections to models of crystal growth. The relatively well-known L2-gradient flow, corresponding to a second-order parabolic PDE, has a notable property of preserving the form of characteristic functions of the class of so-called calibrable sets. In this talk we consider the gradient flow of TV with respect to the H-1 metric. Motivated by providing a natural setting to investigate the evolution of characteristic functions and calibrability of sets, we choose Rn as the spatial domain. We give a rigorous formulation of the flow, which is a bit tricky in low dimensions. We characterize flow paths in terms of a Cahn-Hoffman vector field. We define a notion of calibrability in our setting and investigate calibrability of balls and annuli. We obtain explicit description of flow paths emanating from piecewise constant, radially symmetric data in terms of a system of ODEs. In particular, we compute flow paths emanating from characteristic functions of balls, whose qualitative behavior turns out to vary considerably by dimension. This is joint work with Y. Giga and H. Kuroda.



第95回
日時 9月28日(水) 16:30~18:00
※通常と曜日が異なります.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/RvHDLKT2MQbgH5G17)
講演者 藤原 瑠 氏(明治大学大学院先端数理科学研究科)
タイトル 非局所反応拡散方程式の不連続定常解と包絡線の分岐構造
概要   ネットワーク上における反応拡散現象は,航空網による感染症の伝播や分類問題など様々な場所で現れ,ネットワーク上の反応拡散方程式という常微分方程式によりモデル化される.これらの現象に関わるネットワークはしばしばノード数が巨大となり取り扱いが困難となるため,Kaliuzhnyi-Verbovedskyi et al.(2017)やChiba-Medvedev(2018)などで,graphonと呼ばれるグラフの連続極限を積分核に用いた積分微分方程式の非局所反応拡散方程式が解析されてきた.非局所反応拡散方程式の解析は,ネットワークにおける様々な現象を理解する足がかりとなる.例えば,有限ネットワーク上のAllen-Cahn方程式を用いた2値分類問題では,ノードが二種類に分割する必要がある.他にもNakao-Medvedev(2010)ではネットワーク上の被食者・捕食者モデルにおいて,安定な定常解にノードの次数をパラメータとした分岐構造が見いだされることが報告されている.
 本講演では,種々の非局所反応拡散方程式に,値域が互いに素な集合の非交和である安定な定常解が存在することを説明する.このような定常解を不連続定常解と呼ぶ.不連続定常解は有限ネットワークを考えた際に現れる分類結果や空間パターンに対応していると考えられる.また,存在性の証明に用いる汎関数を考察することで,パターンの形状を特徴づける包絡線の族を定義し,空間変数をパラメータと取る分岐に対応することを述べる.



第94回
日時 8月29日(月) 16:45~17:45+質疑応答(18:00終了予定)
※通常と曜日・時間が異なります.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:下記より登録をお願いします.
(参加登録: https://forms.gle/RG3Bhi6xkZNgLwQj7)
講演者 佐藤 光汰朗 氏(東北大学大学院理学研究科D2)
タイトル 不可逆的に時間発展する変分不等式の適切性と解の定性的性質
概要   本発表では,不可逆的発展の制約条件がついた時間発展する楕円型変分不等式の適切性およびその解の持つ定性的性質について論じる.ここで扱う変分不等式は,劣微分作用素を用いることによりいわゆる二重非線形タイプの(非消散型)放物型方程式へと書き換えられるが,作用素が特異性を持ちかつ退化しているため,70年代以降に Barbu や Arai らによって整備された可解性の理論が直ちには適用できないという困難点を抱えている.一方,時間微分項の退化性によって解は勾配流などのいわゆる消散型方程式では成り立たないいくつかの固有な定性的性質を持ち,それらの性質は脆性材料における亀裂の準静的進展現象を特徴付けるものとして1998年に Francfort-Marigo によって定式化された3つの発展則(不可逆性,(一方向的)エネルギー平衡条件,エネルギー保存則)と対応している.解の構成はいわゆる minimizing movement scheme に基づいて行われ,発表ではこのスキームが解のアプリオリ評価や前述の定性的性質を導く際に重要な役割を果たすことについても説明する.



第93回
日時 8月5日(金) 16:30~18:00
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:Zoom
(参加登録: https://forms.gle/RxhNYE6Fra3CZqaG7)
講演者 勝呂 剛志 氏(京都大学・数理解析研究所)
タイトル 一般化エントロピーに対するモーメント不等式とその応用
概要   統計力学や情報理論に現れる Boltzmann--Shannon エントロピーは, Boltzmann 方程式を始め, 熱方程式や Keller--Segel 系といった偏微分方程式の研究においても重要な役割を担う量である. 近年では, Boltzmann--Shannon エントロピーの一般化である Tsallis エントロピーや Rényi エントロピーが注目されている. これらは, 対数函数により特徴付けられるBoltzmann--Shannon エントロピーに対して, 冪函数あるいは冪乗則に端を発するものであり, 対数函数の拡張という観点で情報幾何学の分野においても重要視されている. 偏微分方程式論においては, これらの一般化エントロピーと多孔質媒質中の物質の運動を記述する方程式であるporous-medium 方程式との関連が知られている. ここでは, 情報理論において重要な一般化エントロピーに対するモーメント不等式の最良定数とそれを達成する函数を考察する. さらに, 一般化エントロピーと Fisher 情報量に関する評価である対数型 Sobolev の不等式とモーメント不等式のある不確定性関係を通した双対性について述べ, これらの一般化エントロピーに関する函数不等式がある偏微分方程式の汎函数を用いることで特徴付けがなされることについて述べる. また, 時間があれば, これらの函数不等式の準線形移流拡散方程式の初期値問題への応用について触れる.



第92回
日時 4月22日(金) 16:30~18:30 ※60分講演を2つ行います.
場所 ハイブリッド開催
  対面:自然科学5号館数学棟4階コロキウム3
  オンライン:Zoom
(参加登録: https://us06web.zoom.us/meeting/register/
tZMtdOyhqD4tE9MxGmH6gl3N-Rr49eKAKA0i
)
[講演1]  16:30〜17:30
講演者 今村 悠里 氏(金沢大学・数物科学系)
タイトル 対称化過程の二項ツリー近似の収束オーダーについて
概要   本講演では,ある不連続な係数を持つ確率微分方程式の近似誤差に関する結果を報告する.一般的には不連続係数を持つ確率微分方程式の近似誤差は,時間分割数の1/2乗以上によくならないが,今回構成した例では,時間分割の1乗で評価できることを示すことができた.この例は,数理ファイナンスにおけるバリアーオプションの価値に対する数値計算手法として提案された方法に基づいて構成される.バリアーオプションの価値は,ある時刻内においてある領域に滞在する拡散過程の分布関数によって計算されるが,この価値関数は,その拡散過程を,ある意味で対称化したものの分布関数の組み合わせによって表現できる.これはバリアーオプションの新しい計算式を与える。前者の差分近似誤差は,パスの関数の近似であるため,1/2乗のオーダーであるのに対し,後者は,係数が不連続な確率微分方程式の解になるにもかかわらず,数値実験によって1乗のオーダーであることが予想されていた.今回の結果は,不連点が1点であり,それ以外の点では定数であるようなドリフト係数の場合という最も単純な不連続係数の場合に限られているが,その予想に対して証明を与えた.この例においては,これまでに不連続な係数をもつ場合に差分近似がオーダー1になることが知られている唯一の例である (Kohatsu-Lejay-Yasuda 2016). 彼らの結果では期待値を取る関数が不連続点に関して偶関数であるという条件が課されているが,今回の結果は,奇関数の場合という条件下での結果になっている.
[講演2]  17:30〜18:30
講演者 和田 啓吾 氏(金沢大学・融合科学系)
タイトル 予混合火炎面の伝搬速度や温度分布に対する圧縮性効果
概要   予混合火炎面は,ガスバーナー等で形成される青白い炎のイメージで,その代表的な厚みは0.1mm程度と非常に薄い.そのため,マクロな視点での火炎面は,冷たい燃料気体と温かい既燃気体に挟まれる密度不連続面とみなすことができる.このような扱いは,Darrieus(1938)やLandau(1944)から始まり,質量保存・Navier-Stokes方程式から成る流体力学モデルとして知られている.一方で,よりミクロな視点で火炎面内部に注目すると,発熱を伴う複雑な化学反応が生じており,熱や物質の移流・拡散の影響を考慮する必要がある.熱伝導・物質拡散方程式に焦点を当てた解析は,Zel'dovich&Frank-Kamenetskii(1938)によりなされ,ZFKモデルと呼ばれる.Sivashinsky(1977)は,両モデルを同時に考慮することで,火炎面ダイナミクスを記述する弱非線形モデル(Kuramoto-Sivashinsky方程式)を導出している.しかし,多くの先行研究は非圧縮の仮定(ゼロマッハ数近似)を課しており,有限なマッハ数を考慮することができていない.
  本講演では,有限マッハ数を考慮し,特異摂動法を用いたミクロな解析を行うことで現在までに得られた結果を紹介する.具体的には,火炎面の伝搬速度公式が大きく修正され,非圧縮の際は断熱的であった温度分布は非断熱的な様相を呈することが分かる.このことは,マッハ数により特徴付けられる領域を新たに導入することで理解が容易になり,支配方程式系の解もランベルトW関数を用いて簡潔に記述することが可能となる.



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お問い合わせ

  • 中村 健一
  • k-nakamura (at)
    se.kanazawa-u.ac.jp

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