金沢解析セミナー

Kanazawa Analysis Seminar

Upcoming

第135回

日時 Time
2024年10月31日(金) 16:00-18:10
October 31 2025 (Fri) 16:00-18:10JST
場所 Place
金沢大学自然科学5号館数学棟4階コロキウム
NST Hall 5, Math building, 4th floor, Colloqium room
Zoom registration: https://kanazawa-university.zoom.us/meeting/register/e7--hM9pRV-zrdPMcGHzsg

講演1:16:00〜17:00

講演者 Speaker
宮廻 裕樹(東京大学)
タイトル Title
正則関数論に基づく細胞配向場の陽公式理論と応用
概要 Abstract
概要:心臓や筋肉を構成する筋細胞は,細胞密度が高くなると同じ方向に揃って配向しようとする配向秩序性を示し,細胞の生化学的な機能に影響を与える.このような細胞集団の配向秩序性の振る舞いを予測・制御するため,細胞集団を能動的に動くネマチック液晶としてモデル化するアプローチが近年注目されている.液晶理論によるとネマチック液晶の配向角度は調和であることが示されるため,細胞集団などの液晶の配向場を正則関数論に基づいて解析する研究が発展している. 本講演では,講演者らの研究グループを中心として発展してきた正則関数論に基づく細胞配向の陽公式理論とその応用について紹介する.はじめに,等角写像論を用いた単連結領域上の細胞配向の陽公式理論(Miyazako & Nara, 2022)について説明する.次に,配向場から計算される弾性エネルギー(ディリクレ積分)を最小化することで細胞配向が予測できることと,培養実験による検証例(Miyazako, Tsuchiyama & Nara, 2024)について紹介する.また,細胞の配向場から流線を表す正則関数論を構成することで,トポロジカル欠陥とよばれる配向場の特異点の位置から細胞が発生する力を推定する公式を導出した研究(Miyazako, Miyoshi & Nara, 2025)について紹介する.本講演内容は,奈良高明氏(東京大学)と三好裕之氏(東京大学)との共同研究に基づく.

講演2:17:10〜18:10

講演者 Speaker
三好 裕之(東京大学)
タイトル Title
多重連結領域の函数論に基づくネマチック液晶の配向角陽公式
概要 Abstract
アクティブネマティックスのモデリングとして用いられるネマチック液晶は,液晶の配向角が全体の機構や性質に影響を及ぼす. その配向角度は,複数の位相欠陥や境界の存在により影響を受け,ネマチック液晶は複雑な挙動や平衡状態を示すことが知られている. 上記を踏まえ,本研究では,多重連結領域におけるネマチック液晶の配向角の解析的公式を導出する.導出には,多重連結領域を円弧スリット領域に移すRadial slit mapと呼ばれる等角写像を活用する. 本研究は,Miyazako・Sakajo (Proc. Roy. Soc. A, 2023)による二重連結領域の解析的表現や,Copar・Kos(Soft Matter, 2023)による無限領域における欠陥ダイナミクスの研究を発展させ,多重連結領域の境界の影響を記述できる. 数値実験では,フランク自由エネルギーの最小化に基づく数値計算を行い,欠陥の初期位置に依存して安定な状態が存在することを示す.本研究は,宮廻裕樹氏(東京大),奈良高明氏(東京大)との共同研究に基づく.

Information

セミナーの趣旨

2013年4月,金沢大学の偏微分方程式研究者有志が集まり本セミナーを企画しました。各回の話題は,偏微分方程式の理論的な側面を中心に,セミナー幹事の関心に従い大らかに選択しています。参加者がセミナーを十分楽しみ,勉強し,新しい発見を得られるように,各回の最初の20分から30分程度,講演者の方にはその話題への導入となるような解説をお願いしています。ご関心がある方はどなたでもご自由にご参加ください。 どうぞよろしくお願いいたします。

セミナー幹事 Organizers

Patrick van Meurs・大塚 浩史・小俣 正朗・蚊戸 宣幸・木村 正人・榊原 航也・Thomas Geert De Jong・野津 裕史・Norbert Pozar・Julius Fergy Tiongson Rabago

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お問い合わせ Contact

Norbert Pozar ・npozar (at) se.kanazawa-u.ac.jp

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